掛金が100%戻ってくる!
掛金が全額経費!
この内容だけなら確かに良い!
美容室で利益が出た場合、多くの美容室経営者さんは税金は本当に凄いなー、、、と感じる方も多いでしょう。
また、税金払ったら現金残らないじゃん、、税金払うために仕事しているみたいだ、、、と感じる方も多いかもしれません。
売上の大半は現金商売である美容室において、現金の有無は心の安定剤でもあるでしょう。
その現金が、融資(借金)を受けての安心材料ではなく、自己資金での現金ならより安心感も安定感もあるでしょう。
今回の記事は、経営セーフティ共済(倒産防止共済)について。
美容室にどう?倒産防止共済
税理士さんや知り合いの美容室社長からは聞いた事があるかもしれませんが、倒産防止共済について解説しておきますね。
セーフティ共済という正式名称ですが、倒産防止共済という名の方が聞いた事があるかもしれません。
あくまで共済制度ですが、節税的には効果があると思います。
美容室の様な現金商売ですと売掛金自体があまりないので、共済的なメリットはちょっと薄いかもしれませんね。
倒産防止共済の共済的メリット
回収困難になった売掛金債権の額か、納付された掛金総額の10倍(最大8,000万)のどちらか少ない方の金額を、無担保・無保証人で借り入れが可能。
倒産防止共済の節税的なメリット
掛金の月額は、毎月5,000円〜毎月20万円まで選べて、その範囲内であれば増額も減額も可能。ただし手続きのタイミングがあるので少し注意が必要です。
法人の場合は、その期の内に支払った共済掛金の全額経費に計上でき、個人事業の場合は、必要経費に算入できるので、節税効果は高いでしょう。
※共済掛金の累計金額は800万円に達するまで。
※1年間共済掛金は最大240万円(全額経費)まで。(前納(全額経費計上・必要経費算入)で先の1年分を前払いする事もできます)
倒産防止共済から一時的な資金貸付
美容室の場合、取引先企業が倒産した事による売掛金未回収事案はほとんどありませんが、倒産防止共済における「緊急資金調達」はメリットとデメリットがあるので、くれぐれも注意してくださいね。
メリットは、資金貸付に対し年0.9%の利息しかかからないところでしょう。
デメリットというべきかは迷いますが、返済期間は1年間以内です。1年以内に全額の返済を行わないと、年14.6%の利息になりますので注意が必要です!まじ注意ですよ!ですから、倒産防止共済から一時的な資金調達をするのは最終手段と考えるか、タイミングを見て解約手続きも視野に入れるべきでしょうね。
倒産防止共済の解約手当金
保険業界では「解約返戻金」、倒産防止共済では「解約手当金」と言うそうです。
倒産防止共済を解約した時に、掛金が100%返ってくる!というのは、いくつか条件があるので参考までに書いておきます。
○加入期間12ヶ月未満=0円
○加入期間12ヶ月以上=80%以上
○加入期間24ヶ月以上=85%以上
○加入期間30ヶ月以上=90%以上
○加入期間36ヶ月以上=95%以上
○加入期間40ヶ月以上=100%
※解約形式(任意解約・みなし解約・機構解約)によって誤差もありますので、詳しく知りたい方は資料請求なりお問い合わせをしてみてくださいね!
倒産防止共済は、一旦解約したとしても、要件にあてはまれば再度加入もできます。(共済貸付には制限があります)
美容室で倒産防止共済は使える制度か?
さて、ここからが本題です!
美容室経営において、倒産防止共済は使えるか?どうか?
私の主観としては、使い方とタイミング次第で「アリ」だと思います。
倒産防止共済にしても、法人契約の全額損金の生命保険にしても、解約した時には「解約手当金」や「解約返戻金」が振り込まれますよね。(生命保険の場合、解約返戻金が無いタイプもあるので、その保険の場合は解約返戻金はありません)
使い方とタイミング次第と書きましたが、油断すると全く意味ナシみたいなオチになるかもしれません。
倒産防止共済の解約は超注意して!
加入の際に「全額経費になる!!」「こりゃ良い!!」と感じるかもしれませんが、ものすっっっっごく重要な事は、その先です。
皆さんに伝える単語としては「出口」とでも言いましょうか。
「出口」とは、解約した時に返ってくる現金は、全額「雑収入」になるという事です。
「雑収入」になるという事は「益金」ですから「課税対象」になるわけです。
最大800万円ね。
もし倒産防止共済で、毎年240万円支払って、累計掛金を800万円まで支払ったとしたら、解約手当金は800万円(ちょこっと印紙代かかるかな??)ですから、タイミングを無視して解約をしてしまうと、800万円の益金が計上されるので、場合によっては「マジか!!」みたいな事にならないように超注意が必要です!
安易に解約すると、この800万円全額に税金が課せられます。。。
理由は簡単で、800万円全額経費計上してきたのですから、受取る時には税金掛けますよって事です。
つまり、無計画に行動をしてしまうと単なる「税の先送り」「税の繰り延べ」にしかならないって事なんです。
800万円もの大金ですからね、使い方も慎重になってください!
倒産防止共済の解約手当金で出店は危険
仮にですが、解約手当金800万円を「出店費用に充てよう」なんて考えないでくださいよ!(その期がめっちゃ赤字なら解約もアリですが)
確かに現金としての800万円は大きいですし、融資は少額で出店計画も立てるかもしれませんが、それは「現金」というキャッシュ・フローのお話ですよね。
倒産防止共済を800万円まで払ったら、ずーーーーーーっと寝かしておいて、退職金として自分が貰うなら全然OKですし、むしろアリアリです!
800万円もの益金を原資に、仮に500万円融資を受けて、合計1,300万円で出店しようものならヤバイ。
例えばこんな感じ。
不動産取得費用:300万円
内装デザイン・施工費:600万円
器具・備品:200万円
運転資金:200万円
さて質問です!
Q:初年度に経費にできる金額はどの程度でしょうか??
A:オープンの時期であったり、不動産の礼金や仲介手数料だったり、器具や備品の金額にもよりますが、内装費や美容器具の「減価償却」を含めて考えると、初年度に経費でできる金額は、300万〜400万くらいが妥当でしょうかね。(顧問税理士さんにも聞いてくださいね)
仮に初年度の減価償却が、300万円だとしたら、800万円の益金の内300万円が経費にできたと仮定すると、500万円には課税されるという感じになっちゃいませんか?
出店費用ですから、現金は先に払うでしょうから、後から税金だけくるとか意味分からなくなりませんか?
仮に法人税が30%だとしたら、経費にならなかった500万円に対して30%の150万円が税金になりかねません。
現金と税務計算は全く別物ですって事です。
800万円全額返ってきた!
よし出店だ!
しかし、150万円の税金・・・
※税金の計算や詳細は、税理士さんに必ず確認してくださいね
って事は、このシミュレーションだと、800万円に対して150万円の税金という事ですから、倒産防止共済の全額損金の「効果」は、掛金返戻率100%なんだけど、実質効果は約80%前後という見方もできるかもしれません。
倒産防止共済と生命保険
生命保険の場合、一部解約(減額)ができます。(保険種類にもよりますが)
倒産防止共済はの場合、一部解約(一部解約手当取得)はできません。(=掛金の減額などはできます)
生命保険の場合は、事業保障があります。
倒産防止共済の場合、事業保障はありません。
「技術」というと分かりづらいかもしれませんが、全額経費になるモノを利用するのであれば、使い方とタイミング次第では大きく役立ちます。
美容師さんには、さまざまな技術がありますよね。
カットの技術、カラーの技術、パーマの技術、ヘッドスパの技術などなど。
やはり我々にも技術があるんです。
美容室で倒産防止共済を使うなら
私のオススメは、累計掛金240万円までか、累計掛金480万円までを上限とするなら、技術的にはアリです。あくまで美容業界ならですよ。
500万円以上の大金は、計画的に大きな経費がある時、なおかつ、その期が赤字かもってタイミングでないと解約は危険です。現金化する事が危険です。(当初、節税目的での加入であれば)
先にも書きましたが、退職金の一部に充当するのなら大アリです。
じゃ何か方法論があるんかい???って思われる方もいらっしゃいますかね??
美容室のお金の貯め方や残し方については、過去OSHINOBIセミナーの「内部留保・外部留保」で話してきましたが、スポットでセミナーする事もありますし、個別でもご相談があればメッセージくださいね。