業務委託サロン、雇用サロン問わず、昨年からインボイスのお問い合わせを多く頂いています。
一時、落ち着いたかな?と思ったのですが、最近になってまた増えてきたように感じます。
仕組みや内容はなんとなく理解してるけど、実際影響があるか?他はどうしているのかというご質問が増えてきた印象。基本的に影響をうけるのは業務委託さろんやシェアサロンだと思っていますが、どういった選択が正解なのか?どういった選択肢があるのか?
その辺りをざっくりまとめてみようかと思っています。
インボイスとは?
ざっくり言うと今まで国が容認していた、とりっぱぐれていた消費税を取りにかかってきた、インボイスはそういう制度と認識しています。
美容業界でいうと、業務委託の美容師さん達は、今まで消費税も報酬と一緒に貰っていた(預かっていた)が、免税事業主なので収める必要がなく、収入扱いになっていた。
その消費税を国が取りにきた、個人事業という働き方が増加しているので、その消費税を無視できなくなってきたといったところでしょうか。
課税事業主になって、インボイスに登録し発行できる事業でないと消費税を扱えない(厳密には扱えてしまう)という仕組みなので、大手と取引しているような個人事業主は、登録しないと取引がなくなってしまうかも?登録すると消費税を納めなくてはいけなくなる、その間にいるわけですよね。
本来であれば委託美容師さんが払うべきですが、簡単にはいかない難しさがあるので、みなさん迷っているんですよね。
どうするのが正解か?
サロンの状況はどうか
経過処置があるなか、委託者にインボイスを登録してもらうサロンと免税事業者のままで良いサロンとに分かれますが、その判断はどうすればいいのか?
考えつく方法で、一度消費税の負担額を計算してみる事をおすすめします。
委託者がインボイスに登録しない場合でも、経過処置の期間があるので委託者に支払う消費税がそのままサロンの負担になるわけではないですよね。
その負担額をサロンが負担できるかどうか?これが一つのポイントかもしれません。
行く行くはインボイスに登録してもらうにしても、現段階で登録させてしまうと今後のリクルートに影響があるかも?と思っています。
いくら変わってくるのか?
仮に税別50万円の報酬だとしたら。
①委託者がインボイスに登録せず、消費税を支払わない場合。
サロンは委託者に払っていた消費税5万円を委託者に支払うのではなく、国に収める事になるのでサロン負担は変わりません。ただし、委託者の所得は5万円減ってしまい、50万円になります。
②委託者がインボイスに登録して、消費税を支払う場合。
今まで通りサロンは委託者に55万円(税込み)を支払うので負担は今までと変わりません、ただし委託者は消費税を国に収めなければいけないので、ざっくり25,000円(簡易課税の場合)収入が減って525,000円くらいの所得になります。
③委託者がインボイスに登録して、消費税を支払わない場合。
これはルール上ありえません、一応書いてみましたがこの選択肢はないでしょうねw
④委託者がインボイスに登録せず、消費税を支払う場合。
今まで通り委託者に55万円(税込み)を支払いますが、その支払った消費税を仕入控除できないので、サロンは国にも消費税を支払うため、負担が増えます。委託者は今までと同じように、所得が55万円になります。
⑤この他にも歩合率を変えたり、折衷案のような対応もありますが、報酬額によっての計算が必要になってくるので省きます。
軽減措置を上手く活用する
委託者にインボイス登録してもらうのがてっとり早いのですが、今後の求人に多少の影響があるかもしれません。
今いるスタッフはさほど影響ないと思っていますが、そもそも稼ぎたくて委託に移行するスタイリストも多いですよね、より稼げる方が良いわけです。
自分のサロンでインボイスは登録しなくていい、ただし消費税も支払わない。もしくはインボイスに登録してもらう、という方向に安易に進んでしまうと、先々困ってしまう可能性も否定できません。
委託者にとって月々数万円の負担かもしれませんが、その数万円は馬鹿にできない金額なのではないでしょうか?
報酬額をキープしつ、軽減処置の間に正式な方向性を決めていく。
しかし様子を見るにしても負担が増えてしまうので、その辺りの計算、資産は必要になってくるでしょう。
制度を正しく理解して、どういった対応をしていくのか。
もうしばらくはご相談が多いかもしれません。